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2019.11.09(土)

イラク レポート #4 [最終回]

今回の目的の1つ、クルディスタン大学でのライブがいよいよ幕を開けました。

 

現地のPA(ライブ用の音響)の考え方や機材は、日本と大きなギャップがあったことで、セットアップ

には大変な時間と手間がかかりました。それも海外公演ならでは。理解するまで説明し、共に方法を

探る。そしてひとつのステージを作り上げて行く、国境を越えた協力の作業です。

 

今回、使用機材の持込みはRoto Tom + 小物類のみに絞って、スタンド類、シンバル、ドラム缶、スネア

などは現地にてレンタルしました。オーダーしたシンバルスタンド7本中2本が使えなかったり、なぜか頼

んでいない クローズド・ハイハット・アタッチメントが1本入っているなど、海外らしいアクシデントはあ

りつつも(使えない物が来ることはよくあるので、多めに発注しておいてセーフ)、無事に本番を迎えるこ

とができて本当によかった。

 

COSMIC DANCE QUINTETのマニピュレーター、Mazda氏。

 

 

会場は大いに盛り上がり、あっと間のステージ。客席からの歓声、叫び声、ダンスする姿が強烈に

印象的でした。

 

そして、次の訪問地はダラシャクラン難民キャンプ。

ここは主にシリアから、内戦やISの迫害などを逃れてやってきたクルド人約8000人が、生活していると

いわれています。それぞれに故郷からこの地に逃げ込み、生活が長期化してきている人々も多くいます。

 

難民キャンプというと、テントでの生活をイメージされますが、やはりすぐに帰郷できず生活が長期化

すると、様々な観点から住居や医療面のサポート体制が必要となり、徐々に現在のような形になって行

ったとのことです。そこには日本を含め多くのグループの支援が存在します。

 

イラクのクルド自治区の中にある、シリア出身クルド人が集まったキャンプということで、人々の対立

や閉鎖的・排他的な緊張感は少ない印象です。同じクルド人だからこその理解がそこにはあるようです。

 

そして子供たちは、どこでも元気よく遊んでいます。

 

会場はキャンプ内にある広場。機材搬入を行います。

 

セッティングが進み、音が出はじめると、どんどん子供たちが集まってきます。

 

「広場で音がしてる!なにかはじまるみたいだよ!!」

 

そんな感じで、音に誘われるように、次々と。

 

 

客席作りもお手伝い。

 

そして、いよいよライブスタート。

最初は、遠慮がちにイスに座っていた人たちも…

 

段々、前へ前へ

 

リズムに合わせてダンスする人も。

 

そんな彼らに、気がついたらパワーをもらっている。

 

「音楽のチカラ」

と言えば簡単なんだが、

 

もっと何か深くて、入り組んでいて、喜びと悲しみの連鎖がどんどん浄化されるような….。

今でも言葉にできない不思議な感覚。大きな大きなチカラ。

 

終演後も興奮冷めやらぬ会場で、どれだけの人と話して、どれだけの人と一緒に写真を撮っただろう。

「ありがとう!」「最高だったよ」「一緒に写真撮って」「次は僕も」「私も!」

 

後ろ髪引かれる思いで車に乗り込み、帰路へ。車が出発すると、子供たちはしばらくの間、車を追い

かけてきて、大声を出しながら手を振り続けてくれました。

 

心にグッと残る、かけがえのない時間。

 

 

もちろん厳しい現実があることも知っておかなければいけないし、ニュースを読み取るように学んで

行くことも大切。同時に、実際に人と触れ合い、話し、その場所に立つことで得られることも大切な

のだと、当たり前のことを強くと実感しました。

 

 

 

 

最高のメンバーとこのツアー、経験ができたことに感謝を込めて。

 

また、多くの写真を提供してくださったKotaro Manabe氏、Keiko Tanabe氏にも謝意を表して。