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【備忘録:留学の思い出】2010年1学期目編-8

 ティムの部屋でMくんと一緒に聴いた音楽は当時の僕にとっては本当に新鮮な情報ばかりでした。

当時はまだ自分の中ではジャズを始めて2年目。
ドラムで言うとBuddy Rich, Max Roach, Philly Joe Jones辺りから聴いたり真似したりし出して、丁度この時期ハマっていたのが60年代のElvin Jones, Tony Williamsでした。

現在進行形で演奏活動しているジャズドラマーにしてもBill Stewart, Greg Hutchinson, ドジャズ時代のEric Harlandなどでわりとストレートアヘッドなドラマーばかりでした。

 ティムとMくんの聴いていた音楽はまるで違って、中でもよく覚えているのが、Danilo Perez, John Patittucci, Brian Bladeとの編成のWayne Shorter Quartet
それからAmbrose Akinmusireというトランペッターのバンドでした。

 Wayne Shorter Quartetのこの4人は今となってはお馴染みというか既に伝説ですが、当時は正直1964年のアルバム"Speak No Evil"の頃の作品かフュージョンバンドWether Reportくらいしか聴いていませんでした。

これらの印象が強かった僕にとっては、今でも現役で活動していたこと、それどころか今でもまた新しいジャンルというか音楽を作り続けていることに驚きでした。

というかそもそもそんなことすらどうでも良いくらい、そのサウンドがとにかく衝撃的でした。
曲をやっているのか?フリージャズなのか?どこまでが譜面で決まっていて、どこからが即興演奏なのか。そのすべてが理解不能でした。無茶苦茶に演奏しているようでずっとフォームを守っていたのでした。

果たして何をどうしたらこんな次元までいけるのか…なんだか途方に暮れてしまった当時の自分にこの後実はこの人たち本人の授業を受けていくことを教えてあげたいです笑

 そしてもう一つ衝撃だったAmbrose Akinmusireというトランペッター。
ドラムはJustin Brownという人でした。「誰それ?」というとティムは「お前Justin Brownを知らないのか?!」とめっちゃびっくりしてました。

とにかくAmbroseの作曲の仕方がそれまで聴いたどんな音楽とも違いました。けど確実に現代のコンテンポラリージャズのサウンドと言われて頭に浮かぶサウンドがなっていました。
そしてJustin Brownのずっとドラムソロをしているのかと思うようなスタイル。決まったリズムパターンの繰り返しなどではなくて、次から次へと新しいフレーズと技、かといって曲自体を邪魔しない謎のドラミング。こんなアイデア何聴いて育ったら浮かぶの?と一周回って普通に悔しくなってくるのでした。

つづく

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