昨日の続きです。
思いの外たくさんの反響を頂きまして、恐れ多くなってまいりましたが…

ドラマーとして同期音源(シークエンス)と共存する為に

 
これは自分自身ために頭の中を整理していることと、レッスンで若手のドラマーに聞かれることが多い内容で、皆さん気になっているのでは無いかなと思い書いております。
またドラマーの考えを他の楽器の方にもご意見いただきたく思っておりますので、ぜひご感想ご指導ご鞭撻よろしくお願い致します。
 
自分が考える同期演奏現場の4タイプを書かせていただきました。
 
1. ドラマー、バンドメンバー、ボーカリストの全員が同期(クリック)を聞いている
 
2. ドラマー、バンドメンバーはクリックを聞いているがボーカリストは聞いていない。
 
3. ドラマーだけがクリックを聞いていて、他のメンバーは聞いていない。
 
4. ドラマー含め全員がクリックを聞いていない
また、コンダクターの先生がいらっしゃる場合にはこの限りではありません。
 
同期と演奏を合わせることは、クリックと自分の演奏をタイトにかつ音楽的に合わせるスキルであるということを前述致しました。
 
僕がサポートの現場に入る様になって同期との演奏を始めたのは約10年前の2013〜15年頃ですが、3のパターンが一番多かった気がします。
 
ドラマーのみがイヤモニでクリックを聞き、それ以外のメンバーはボーカル含め同期クリックを聞いていませんでした。
 
またミュージシャンのインイヤーモニターというもの自体の使用率がまだまだ低く、同期を聞かないメンバーはイヤモニではなくウェッジモニター(ころがし)またはオープンイヤーのヘッドホンでモニターしているケースも多かった様に思います。
 
このケースはドラマーへの負担も大きいのですが、他のメンバーからもドラマーから絶対にずれられない!と大変なご心労をお掛けしてる感じがしています。
 
演奏面では、まず単純なところで言うと曲中でのドラムが演奏していないセクションでは全てハイハットやシンバル類でガイドを入れる必要があります。
 
しかしそれは、全てを4分で「ツッツッツッツ」と処理してしまうと機械的で音楽的では無いので、2拍4拍のバックビートで入れたり、1.3を強調してみたり、シンバル類をしゃらしゃらとやりながらリズムを整えてみたり、音楽に合った方法で全体にガイドを出しています。
 
この場合は白玉(全音符で伸ばす)フレーズが1〜2小節ある中でドラムのガイドが無いと、全体での復帰が難しくなります。
全員ノークリックであれば少しくらいずれても問題ないのですが、こちらの事情を理解してくださらないクリック様がいらっしゃってそれを僕だけがお守りをしている状態なため、クリック、バンド、歌の間を取りながらガイドを出していく、もしくはピックアップでフィルインを入れていく必要があると考えています。
 
またリズムパターン(グルーヴ)の演奏中は、ただクリックに合わせるだけでなく、自分がどの様なタイムを出したいのかを主張し周りに伝えながら演奏する必要があります。
 
まだ駆け出しの頃、バンドリハで自分だけクリックを聞いていて、自分はテンポに合わせているのに周りが全然ドラムに合わせてくれずチグハグになってしまったことをよく思い出します。
どんどん遅れていくベースのメンバーに、もっと早く弾いてくれ!とオーダーしたことがあります。
 
これの場合は、自分はテンポだけを守っていて、タイムを司っていなかったのだなと今では感じています。
自分が欲しいところにアンサンブルの音をもらうためには、自分からここにください!というタイムを主張する必要があります。
テンポ感とタイム感は言葉もニュアンスも似ている様に思いますが、全く違う意味を持っていると考えます。
 
クリックを聞いて後出しの演奏をする自分に他のメンバーが合わせていくと、かなりもったりしたタイムのアンサンブルになることが容易に想像がつきます。
 
まずドラマー自身がクリックを追いかける演奏から脱却し、クリックの次の点を予測し共存する演奏を他のメンバーに聴かせることで、メンバーもドラマーの次の点を予測して安定したアンサンブルになると考えます。
 
これと対照的である様に見えるのが 
1. ドラマー、バンドメンバー、ボーカリストの全員が同期(クリック)を聞いている
状態でありますが、ドラマーが前述の点をしっかり捉えることができれば、バンドはドラムがないセクションだけクリックを意識し、ドラムがいるセクションはドラムにタイムを任せて、より音楽的なアンサンブルが可能になると考えます。
 
そして、
2. ドラマー、バンドメンバーはクリックを聞いているがボーカリストは聞いていない。
 
を残して、明日に続きます。
今日も長くなりました。おやすみなさい。